私の大好きな『大乱闘スマッシュブラザーズ』『星のカービィ』シリーズの生みの親、桜井政博氏の半生を可愛らしいイラストで忠実に描かれた漫画。愛猫ふくらしカワイイ。
桜井さんも曰く「ゲーム制作者のコミックというとおおげさな誇張もされがちですが、本書は非常に実直」とのことで、(氏のコラムなどを過去に読んでいるため)知っている内容ばかりだったが、漫画でストーリー仕立てに展開されると、これがとてもグッとくる。
特に、氏が就職したHAL研究所の上司であり、のちの元任天堂社長でもある岩田さんとのエピソードは感動的。理想の上司だ。 お二人とも、得意のプログラミングで作ったものを人に「面白い」と褒められたことをきっかけにゲーム作りの道を選んでおられるので、作ったものを人に触ってもらいフィードバックを貰うことは、やはり大切なことなのだろうなぁと思った。「良いものでも、人に知られなければないのと同じ」という言葉が胸に刺さる。
本書の内容はダイジェストのようなものなので、さらに深堀したい場合は、氏の『桜井政博のゲームを作るには』チャンネルの動画や、書籍で出ているコラム集などをぜひ手に取ってください。 ゲームに限らず全プログラマー、もとい全クリエイターにとって多くのことが学べます。純粋に面白くてオススメです。
メールインタビューも読みましたが、ゲーム業界を目指す学生の方々への言葉が、エンジニアが良い開発をために行うべきことの真理といった感じでした。
以下、引用。
広報や営業などではなくて、開発者であることを前提にお答えします。とにかく、ゲームを作って完成させることがもっとも近道だと思います。
なんでもいいから、とにかく作る。あんまり規模が大きいものではなく、小さいものを遊べる形で完成させる。困難があっても、調べたり工夫をしたりして解決する。調整を施して、より楽しめるものにする。できれば他者に遊んでもらい、反応を見る。いくつも作る。そういった地道な繰り返しが、下地を作り理解を深めていきます。
いまは、ゲーム作りの方法もいっぱいあります。それすらできないのであれば、スタートラインにも立てないのだと思ってもらってよいと思います。そうやって鍛えられている人ばかりの世界ですから。
ゲーム業界に長年関わり続け、その過程で遊び手と作り手の乖離や、上手くいかなかった例もたくさん目にしてきた方の言葉なので、伝えられる現実の厳しさが身に沁みる。
ITもゲーム業界よりは厳しくないと思うけれど、上には上がいくらでもいる世界だから、手を動かす努力を怠らないようにしなければ置いて行かれるなぁ、と改めて感じました。